昭和30年代の岩村精肉店(現小島グループの前身)には住み込みの従業員10名足らずと
オーナー家族5人の共同生活だった。日々の夕食はごはんとおつゆ、漬物は食べ放題であるが
おかずは一品…焼き魚か煮魚。もしくは鶏肉を大鍋に煮て卵でとじた親子丼一品。
昼は冷や麦をたくさん茹でておいて手のすいた従業員から順番に食べてすぐ仕事に戻る。
そんな日々を送っていた。
休みも原則日曜日ではあるが半分の従業員は当番出勤のため仕事していた。
・・・がしかし毎年12月31日はちょっと様子が違っていた。夕方1600時ころになると
店から路地を一本隔てた日本料理の名店割烹Sに木のバットが10段ほど運び込まれてくる。
大晦日は決まって従業員も家族も…もちろん子供もSの豪華な料理を食べられる。
しかも子供もほんの少しお酒を飲ませていただける。
子供は待ちきれずにバットのふたを開けてみては母親にたしなめられる。
岩村精肉店はそんな大晦日を送っていた。
一首 二王子に雪雲かかり里静か霜柱ふみゴミ出しに行く 志ん笑